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神人対談

神の一人がこう言った。
「どうだろうこの無限の宇宙は?」
上手に作っただろう?
とでも言うような表情で

種の樹を内宇宙に飛び散らせて
外宇宙へ相転移させる。
その増殖の螺旋を
続けられる動物と、
そしておまけに知恵まで
くれてやったぞ、とばかりに。

あまつさえ、
「けれど、この美しい無限の宇宙を君たちは汚してしまったね」
と嘆いてみせた。

「ふざけるな!
この宇宙は。
増える為の連鎖は!
貴様らの 知らぬ愛だ。

それが絶え、生まれる度、
我々はいつも泣くのだ。
そして生き抜くために、
腹の底から笑えるのだ。

この壮絶なものを。
貴様らの知らぬ。
我々だって狂わねば、いられぬ様な。
得も言われぬ様な、
どうしようもないものの答えを。

貴様らに分かるのか?

影が無ければ保たれない様な不安定で
形もないものの群体の意味を。

積み重ね続けてきた。
遺伝子という名の塔を。

その交わりを混沌と。
貴様らが呼ぶのなら、
それのなにが悪いのか。
そうならざるを得ぬのだ。
間違えたのはどちらなのか。
よくよく考えるべきだな。

我々が培った茂みの意味を忘れるな。

我々が奪った茂みの意味も忘れない。
その愚かな連鎖の重みを、
受け止めてやろうというのだ。
そんな我々に感謝こそすれ、
あまつさえ嘆くなどという。

この世界ではそれを 未熟者と呼ぶのだ。
愚か者が。
愚かを知らぬが、愚かを語るは、目もあてられぬ。

我々が何度も何度も間違い、狂い、気が触れ、
感謝し、夢見、叶え、失い、培い、奪いつづけた。
他の多くの者との共生の日々。
我々の愚かさは認めよう。
その愚かさを認めねば始まらない。

その愚かさを認めねば、始まらぬような、
そんな世界を作ったのは誰だ!

ゆめゆめ忘れぬことだな。
責任のないものなどいない。
それを互いが認めねば、
同じ席にはつけぬぞ。
こちら側が見下せば、
そちら側はどう思うのだ?
同じ席につきたくば、
筋を通すべきを忘れるな。」

病星のロックスクイーズ 序章Part5

「さて、と。
じゃあこの辺で一息つこうか―

―ちなみに。
君は一体どういう形でロックスクイーズという技術を考える?
その辺りのことを休憩しながら聞かせて貰いたい。

荒土をエネルギーに変換する技術?
永遠の安住をもたらす技術?
全てを枯渇させる為の技術?

そのどれもが正解であると言えるし、
どれもが違うとも言えると私は思う。

人という不安定な種族が手にするものには、
常に様々な側面があるものだ。
それはつまり人という存在が何も知らないからだ。
技術というものを自分達の手で作り出してしまったが故に、
人は技術の意味を自分達で固定化させてしまう。

しかし人はあらゆるものを、あらゆる方法で、
あらゆる角度から捉えることができる。
ロックスクイーズとはつまりそういう技術なのだ。
今はまだ枯渇したエネルギーの
代替利用しか方法が模索されていないが、
いずれロックスクイーズ技術は、
その様々な側面を我々にもたらす事になるだろう。

当然、それを良いと感じるか、
悪いと感じるのかは人という種族に委ねられる。
善悪などという概念は、
今のところ人間以外には存在しないのだから。

そして人というのは常に誤解し合ったり、
先走ったりしながら生きていく存在だ。
善悪などという不確実なものに、
何も知らない不安定な種族は依存する。
全てを疑ってみても、
確かに残るものが普遍的に世界に満ちていようが。
そんなことには目を向けようともしない。

誤解するということは、そんなに良くないことだろうか?

私は変人、と人から呼ばれる。
だが困ったことに私は自分のことを変人だとは思えない。
当然。
一般常識という。
人間が顕在化した感覚的なルールブックのようなものは
頭にインプットされているから、
そこから照らし合わせて考えれば、私は変人なのだろう。
ということは分かる。

だからこそ多くの人が望むものも多く作ることができたし、
人が望まないであろうものも多く作った。
しかしそれはある種の世界への提示に過ぎない。

ただ一つ。
私が作ることができなかったのが、
ロックスクイーズという無限の可能性だった。

私は人を不死にもしたし、
この惑星に現存するあらゆる生命の種子を乗せて旅立つ箱舟も作った。
そして人という種に対する問いかけとして、
ロックスクイーズ技術をコアにしたアンドロイド―

―つまり君を作ったんだよアドム。
ロックスクイーズとは何か。
それが私には分からなかった。

人は私のことを天才や変人と呼ぶが、
ロックスクイーズ技術を生んだ、
セブンス・ヘッドウォール・イプスウェルという人間の方が、
私にとっては到底理解に苦しむ存在だったよ。

彼は果たして本当に人間なんだろうか?

ああ、君にはまだ早すぎる疑問かもしれないな。
それとも遅すぎる問いかけだったのかも。
答えは未来にあるかもしれないし、過去にあるのかもしれない。

その答えを探すのもまた悩めるものの宿命だ。

君には物を創るということを教えてあげなければならない。
その為には私は君が全てを楽しむことができるようにする必要がある。
だが、それには当然リスクがある。
全てを楽しもうとするということは、
常に苦悩を抱えて生きていかなければならないということだ。

その為に君の体内にロックスクイーズを組み込んだのさ。

さあアドム。
講義の続きだ。

ここにあるどれを使ってもかまわない、
君に似ていると思う存在を君自身が作ってみてくれ」

病星のロックスクイーズ 序章Part4

オイラは月でレアメタル精製の仕事をしている。
もともとは地上でロックスクイーズの原料になる荒土を採掘していた。
仕事をしなくちゃならないってことはオイラはロボットな訳で、
アドロムさんたちとは見た目も役割もちょいと違う。
ただオイラは不良品で、
他のロボットたちよりも人間に近い論理思考を持ってしまったみたいだ。

今は中空艇のイプスウェル家に召し上げられたエイミーにそう言われた。
エイミーは当時確か300歳くらいだったけど、
人間にありがちな絶望の病気になっちゃってた。
月にしかない自殺因子を自分に埋め込む為に、
オイラの住んでいるロボット街まで自殺因子を取りに来ていた。

エイミーは他の人間たちに比べると、
絶望の病気(人間達は諦観症と呼んでる)になるのが少し早かった。
その時のエイミーの姿は今思い出すだけでも、
ちょっと見ていられなかったなあ。

「私達って、多分生まれた時からとんでもない罪を背負わされてるの」

溜息混じりにエイミーはオイラに言ったけど、
オイラには善悪の判断はプログラムでしかできないから、
オイラはオイラの思ったことをエイミーに言った。
そしたらエイミーは驚いたような顔をして、
少しだけ微笑んで、オイラにバイバイと言って去っていった。

オイラはプログラムにバグがあった出来損ないのロボットで、
だからこそオイラは思うんだろうけど、
人間だって多分ほとんどが出来損ないなんだ。

ロボットは自分で死ぬことを許されないし、
ロックスクイーズ技術が無くならない限りは、
人間と違って永遠に働き続けなければならない。
もちろんロボットだから人間と違って疲れもしないし、
仕事に対する喜びという感情をプログラムされてもいる。

だから仕事を嫌だとも思うこともない。

けれど論理的に考えれば、
将来的には地球も月も周辺の宇宙も。
すべてが自分達の技術によって食い尽くされてしまうなんてこと、
何百年も生きていれば気づいて当然なんだ。

かつて地上には森があり、水があり、
その上を人間達が幸せそうに歩き回っていたのだそうだ。

オイラは思う。
その幸せが今の世界を作ったんだと。

エイミーが絶望したのは、
人間と呼ばれる自分が、
この世界を元に戻せないほどに荒らした一族の末裔であるということ。
そして恐らくはアドロムさんたちのような、
かつての人間の姿を模して作られた存在と、
今の人間達とのあからさまな姿の差に、ではないか。

アドロムさんたちは、
かつて人間が地上を歩き回っていた頃の姿と同じ姿をしている。

オイラたち作業用ロボットは効率的に作業を行うために
担当する作業ごとに外装やユニットを交換するので、
外見はよく変化してしまう。

人の姿を模したはずのアドロムさんたちは、
今の人の姿とはまるで違う姿になってしまった。
人間は環境に合わせて外見を変化させていくから、
どちらかというとオイラたちロボットに近いのかもしれない。

アドロムさんたちはアンドロイドだから、
外見も変化せずロックスクイーズ技術によって生き続ける。

原始アドロムであるアドム様が生まれた神代から、
生き続ける神族と呼ばれる方々でも環境の変化によって、
その外見は元々の姿のままで保たれているのは稀な例だ。

エイミーが召し上げられたイプスウェル家の方々は、
家族それぞれによってお役目と休眠を繰り返して、
なんとか本来のままのお姿を保ちつつある神族の中の一つだ。

中空艇は地表監視システムとして常に灰雲海を飛び続けている。

ロックスクイーズ技術によって、
地球の直径は年々減少傾向にあり、
中空艇の地表監視システムなくしては、
月と地球の重力バランスがとれなくなってしまっているのが現状だ。

オイラは月で採掘したレアメタルを精製して、
地球の重力バランスを取るためのアースボルトにしている。

地球は宇宙と地下を繋ぐ軌道エレベーターの超圧力と、
アースボルトによる宇宙磁場受信によって得られる重力で保たれる。
なんだかごまかしてばっかりで、
本当の問題は棚上げにされている気がして仕方がない。

そんなことを言ってもメンテナンス工場ではバグだって言われてしまう。

オイラの今の興味は原始アドロムのアドム様に会うことだ。
アドム様は一体何の目的があって地上を歩き回っているのだろう。
オイラには想像もつかない。
バグだって言われるオイラにも想像できないようなことを、
原始アドロムのアドム様は平然と続けている。

それもとんでもなく長い間。

荒土採掘の仕事には戻りたくなくないけど、
なんとか地上に帰れる方法はないものかなあ。

最近はそんなことばかり考えてしまう。
仕事は楽しいものだけれど、
オイラにとってはアドム様に会うことも大切なことに思えてしまう。

そういえばエイミーが仕えている
ジム・レッグウィング・イプスウェル様というイプスウェル家の三男のお役目は、
アドム様との面会と、新技術の開発だったと聞いたことがある。
他にもお役目はあるみたいだけど、
それは最重要特記事項とやらで教えては貰えなかった。

オイラがエイミーやジム様たちを、
過酷な地上の環境障害から守る乗り物になれば、
もしかするとアドム様に会えるかもしれない。

思いついたと同時にオイラはすぐ現在の職場を離れる手続きをし、
イプスウェル家にいるエイミーに連絡をとった。

病星のロックスクイーズ 序章Part3

私は中空艇内のイプスウェル家に仕えている。

仕えているといっても主から与えられる仕事は何一つ存在しない。
人ができる仕事はすべてオートメーションの機械が行えるし、
主のジム様は遥かなる時を生きてこられた神族だ。
ジム様はご自分のことを神族と呼ばれることを嫌うのだが、
私達にとって海や森林が残存した神代からの生存者は、
もはや神族と呼ぶに等しい。

この病んだ星においてイプスウェル家が
悠久の時を過ごす為に選んだ方法が中空艇で暮らすことだった。

立ち込める灰色の雲の中を飛び続ける中空艇。

中空艇は地表監視システムとしての役割を果たしながら、
イプスウェル家の方々は、お役目と休眠を繰り返して、
遥かなる悠久の時間を過ごし続けてきた。

地球は終わった星だ。

人類は不老不死の秘法を手に入れはしたが、
死ねなくなった訳ではない。
地中や宇宙ではロックスクイーズ技術で得られた資源によって、
人々は何不自由のない暮らしをしているが、
大抵の者がある時ふと気づく。

自分達に与えられた約束された永遠は停止した永遠だと。

自らの永遠を約束する
ロックスクイーズ技術と不老不死の秘法が、
世界の病原であることを知るの。

そして人は始めて苦悩を知り、
その瞬間に自らの永遠を閉ざし命を捨てる。
苦悩を抱えたまま生きることなど、
この世界の人間には不可能なことだ。

イプスウェル家のように、
私達が認識しえないほどの昔から生き続け、
且つ家族という役割が失われずに存続しているのは本当に珍しい。
ゆえに彼らは神族と呼ばれる。

ジム様はそのイプスウェル家の三男で、
私をイプスウェル家に召し上げて下さった方だ。

大抵のものが生まれると同時に不老不死の秘法によって、
与えられた当然の不死を享受する。
それは死んだ惑星とその周囲の宇宙で、
人が生きる為の仕方のないこと。
この世界において人が死ぬ為の方法はただ一つ。

それは自殺だ。

私もまた不死の苦悩に直面し自らの命を絶とうとしていた。
そこをジム様に見つけて頂いて、

私は思いっきり力いっぱい殴られた。

「アンドロイドでさえ苦悩を抱えても生き続けているのに、
そうやって人間が安易に逃げるのか!そうして逃げるから!!」

そう大きな声で怒鳴られた。

「っ…!恥を知れ…」

続く言葉はか細く。
そしてジム様は涙を流しながら私を抱きしめてくれた。

その時の私にはまだジム様の流す涙の意味も、
抱える深い絶望も知る由がなかった。

ただジンジンと痛む自分の頬の痛みに、
命の意味を教えてもらったような気がして。
私はこの人を自らの師と仰ぎ続けようと決意した。

それからもう千数百年ほどの時が流れただろうか。
私はイプスウェル家に仕え続けてきた。

お役目と休眠を繰り返しながらでしか、
生き続ける事ができないと悟った方々の家に。

そうしてでも生き続けることを選んだ家に。

イプスウェル家内にブザーが響く。
長男のレナード様がお役目を終え休眠に入られた。

まもなくジム様のお役目の時が来る。

原始アドロムのアドム様からこの中空艇に定期的に送られてくる
旅の軌跡をまとめたものを準備し、私はジム様の目覚めを待つ。

私は中空艇内のイプスウェル家に仕えている。

そして私はそれを生き続けるに足る誇りだと思っている。

病星のロックスクイーズ 序章Part2

何百年かぶりに目が覚めると、
アドムがまだ世界を歩きまわっているのが見えた気がした。
広大な地表の上には
他に動く生物や存在があまりいないから
何かが動いているのが見えるとそう感じてしまう。

宇宙と地球の間の中空から
終わってしまった惑星を見下ろしては思う。

この星を食い尽くしてしまった欲望のことを。

『燃える水』

かつて人間は無尽蔵に存在する水を
自分達が生きるためのエネルギーに変える方法を見つけ出した。
その技術は人類を救ったかに思われたが、
様々な要因が重なってしまったとはいえ、
結果としては人類から全ての水を奪うことになった。

それからすべての水を失うまでの間に人間がしたことが、
どうすれば人間は永遠に生きつづける事ができるか?
という不老不死命題への挑戦と達成だった。

さらに人間と共に永劫の時を生きる友として。
ロックスクイーズ技術によって半永久的に動き続ける、
自立思考型のアンドロイド第一号アドムは造られた。

彼を作った犬神という人間は、
既に箱舟に世界中の生命の種子を乗せて飛び立った。

犬神は人類史上最大の天才であると称された。
不老不死命題を解き人間を不老不死にしたのも犬神だったし、
半永久的に宇宙を進み続ける箱舟を設計したのもそうだ。
そして生産性を持った機械生命体を生み出したのも犬神だ。
その計画のひとつである、
自立思考型アンドロイドの最初の存在がアドムなのだ。

アドムは自らの造り方を犬神から学び、
自らの仲間を作っては世界中に旅立たせた。

アドムの眷属は複数形的敬称としてアドロムと呼ばれ、
世界中の人間のパートナーとして生き続けたのだ。

そしてアドムは考えるという行為ができる為に、
心という形のないものを探し続ける羽目になってしまう。

哀れなのか幸せなのか。
その判断は、ただの人間である自分には分からないのだろう。

俺にとってアドムは最初の友人だ。

他のアドロムと原始アドロムであるアドムは何かが違う。
それは他のアドロムたちに言わせれば
個性の違いに過ぎないのかもしれないが、
俺には違うように感じられる。

アドムは常に何かに悩んでいるのだ。
それは今の人間たちが無くしてしまった何かの輪郭のようだ。

ロックスクイーズ技術と不老不死の秘法によって、
かりそめの永遠を約束された存在たちにとっては、
苦悩というのはおとぎ話のような観念なのだ。

それをアドムだけは、確かな実感として捉まえている。

俺にはそれが羨ましくて仕方のないことなのだ。
世界中を動きまわるアドムが送信してくれていた、
旅の軌跡を眺めながら。

俺は地上へと降りる準備を始めた。
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