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ベルセルクはやっぱり凄い

もう読まれた方もいるでしょう、
三浦建太郎のベルセルクの最新刊。

これを読んで感想を書かない人間がどこにいましょうか。

漫画の展開的にも盛り上がりを見せ始める巻だとはいえ、
凄まじい画力とコマ構成力である。
素人目から見ても明らかに漫画として進化している。

当然、独特なコマ割りの仕方は昔からそうなのだが、
そこに新しいギミックを足してみたり、細かく洗練されて来ている。
俺程度の素人でも気づけるレベルなのだから、
途方もない試行錯誤があったことだろうと思う。

画力の向上も毎回すごいなぁと関心しながら見ていた。
32巻から33巻の間で突然変化した訳ではないが、
それでも、この33巻には本当に驚かされた。

まずキャスカが海に落ちるシーンでの、
オーバーラップの見事さには舌を巻いた。
ここでこれまでに丁寧に積み上げてきた、
多くの出来事と現在のガッツを形作った人格形成過程が、
再び読者とシンクロする。

さらに海皇紀も真っ青のロデリックの海戦。
独特のコマ割りの中にカットイン的に入るコマが見事!
もはや完全に自分の物にしているようで、
劇としては間延びしてしまいそうな海戦部分を、
少ないページ数にも関わらず信じられないような速度で、
情報量を損なうことなく楽しませてくれる。

そして作品の根幹となるこれからの為の伏線。
グリフィスとガッツの視覚的な対比演出。
これらはこれまでも丁寧に積み上げられて来ていたものだが、
ガッツの全身の裂傷がさらに増えて描かれ、
狂戦士の甲冑を着ていない状態でも線の量が増え黒くなる。
逆にグリフィスはさらに白くなっている。
31巻と33巻の表紙を見比べると非常に面白い。

特にクシャーン大帝とバーキラカのキャラ立ちの上手さは、
ベルセルクを読み返す楽しみを与える素晴らしいテクだ。
本当に長い時間をかけて結実する漫画の描き方をする人だと思う。

さて、世の中にはアンチヒーローやダークヒーローと呼ばれる、
いわゆるヒーローらしからぬヒーローが数多くいるが。
ガッツほど丁寧に、明確な内面描写をすることなく、
出来事と群像劇の積み重ねだけで、
その人格形成を描いたダークヒーローは存在しないだろう。

青年期に至るまでの出生と成長の過程、
そしてそこから蝕が起こるまでのいわゆる青春の過程、
さらに蝕以降の崩壊へと向かう狂戦士の過程。
それらをリアリティを持ったファンタジーの世界で描いてしまえる凄さ。

すべてが途方もない丁寧さで、少しずつ積み上げられていく。
加えてグリフィスの側を描く際も、
何を考えているのか分からないように丁寧に描いている。
特に転生後のグリフィスの目は眼前のものを見ておらず、
常に遠くを見つめているようにつとめて描かれている。
これが読者にとってのグリフィスの印象を決める。

本作品内でグリフィスの内面描写が行われたのは、
ミッドランドの牢屋の中での夢と、
ゴッドハンドとの接触時くらいだろう。
さらに、雑誌には掲載されたが、
単行本には未収録のエピソードなどもある。
細かな内容は無粋になるので書かないが、
それは確かグリフィスの内面描写にまつわるエピソードで、
グリフィスがゴッドハンドのフェムトへと転生する際の描写であった様に思う。

つまり三浦建太郎はグリフィスの意思を決定するような、
もしくはグリフィスの思考が理解できてしまえるような描写を、
あえて避けて描いている。

おそらく演出家としての能力が非常に高い為だと思うが、
言葉や表情に本来以上の力を持たせる為に、
途方もない細やかな演出を積み重ねる。

このたゆまぬ努力が、
一般的には子供の為の世界でしかなかったファンタジーの世界を、
限りなくリアリティを持った生々しい世界にできた理由の一つだろう。

これからどうなるかは分からないが、
グリフィスの内面を描いてこなかったが故に。
他者の内面に触れることのできるシールケや妖精たちが活きてくるだろう。
エルフヘルムで何が起こるのか。

クライマックスを迎えようとしているのか、
それとも三浦建太郎にはまだ、その先が見えているというのだろうか?

ああ、次が楽しみで仕方がない。

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