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最近読んだマンガ2009年12月

毎月ごとに読んだ漫画の感想を書いていこうとしていたが、
8月くらいから感想を全然書けていない。
理由は読書量が異様に増えたので。
なので、これからは5作ごとで感想を書いていくことにする。
読んだ順番は気にせず、感想を書きたいものから書いていきます。

でも結局5作ごとにしてもムチャクチャ長文になってしまった…
もっと短く的確に感想を書けるようにならねばなぁ。

目次
・COPPELION 1~5 / 井上智徳
・エマ 全10巻 & シャーリー / 森薫
・ジョーダンじゃないよ! 全11巻 / 斉藤むねお
・砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 上下巻 / 桜庭一樹×杉基イクラ
・ベルセルク 34 / 三浦建太郎

・COPPERLION 1~5 / 井上智徳
技巧派系な絵が特徴的。
大友克洋や鳥山明の影響だろうか。
技巧派系の漫画家さんから多くを学んでいる感じ。

そのくせ主要キャラの顔の造作は何故かロクニシコージを感じる。
ヤンマガつながりで作者の趣味なのかもしれない。

スタイルとしてはコマの枠線を紙面のギリギリまで取っていて、
しかし絵自体がコマの枠からハミ出すことはほとんどない。
ページ数が打てないほどに枠線をギリギリまで取るのに、
枠線から絵をハミ出させないという手法には意図があるだろう。
基本的には変則的なコマ割りをまったく使わずに、
先祖がえりのようなシンプルなコマ構成で読み易い。
しかしそれでも通常よりも広くコマを作っているためか、
案外独特な感覚で読むことができる。

読んでいて感じるのはマンガよりもアニメ的な印象が強いこと。
これは大友系の絵の人には全て言えるかもしれないが、
止まっている絵なのに動いている柔らかさがある。
この辺りが巧いなあと思わせる所。
作品としても引き込み方や引っ張り方が的確な感じ。
逆にいうと教則本のようで魅力に欠けるとも言える。
ストーリーは今のところ特別に面白いとは感じないが、
今後の展開次第といった所だろうか。


・エマ 全10巻 & シャーリー / 森薫
想像していた以上の作品だった。
とにかくキャラクターを立てるのが上手い。
英国が舞台でメイドと貴族の身分違いの恋を描いた作品。
という説明だけだと日本の古典作品のような印象になるかもしれないが、
古典的な構造というのは概念的骨子を持っているという事でもある。

メインのストーリーと平行しつつ、
色んなキャラクターを登場させて物語を賑やかにさせている。

絵に出来る部分の話でいうと、
絵にしなければならないものは絢爛豪華で緻密な描写が求められる。
しかも森薫さんはほとんどアシさんに頼らないよう心がけているそう。
壮絶だ。
さらに絵に出来ない要素でいうと、
時代的な気分や土地柄的な雰囲気を紙面に定着させる為に、
ありとあらゆる要素でアプローチしてくる。

一応本編のストーリーは8巻で終わっていて、残りは外伝。
外伝で2冊描けるのも相当凄いが、
それを許す編集もかなりアグレッシブな気がする。
またこの外伝が良い出来でビックリするし、何より満足するんだなぁ。
シャーリーもエマと同じ感覚で楽しめる良作。
「乙嫁語り」についてはまた別の機会にでも。


・ジョーダンじゃないよ! 全11巻 / 斉藤むねお
スラムダンクを筆頭に当時のバスケ漫画は枚挙にいとまがないが、
この「ジョーダンじゃないよ!」という作品は案外に知られていない気がする。
当然他のバスケット漫画からの影響は随所に見受けられる。

少年スポーツ漫画の王道のようなストーリーで、
ストーリー展開の無理矢理さまで含めて面白い漫画だよなと。

チビがバスケをやる。
それは「高さ」が重要な要素となるバスケという競技に対する、
日本人の気概の象徴のようなものだろう。
そこで「無垢」で「実直」で「諦めない」主人公の成長過程を描くというのは、
今日まで続く日本の少年漫画の課題のようなものではないだろうか。
同じようなテーマのバスケ漫画は他にもあるんだけどね。

だが無垢なだけの主人公では人間的な成長を描くのは難しい。
その為、主人公以外にも多くのキャラクターを登場させ、
それらのキャラクターにドラマを設定して
キャラクター同士の交わりあいによって相関的に人間関係が発展していく。
互いが足りない要素を補い合いながら成長していく。

その過程が実はものすごく丁寧に描かれていて、
バスケット漫画というジャンルと少年漫画の成長課題を、
どれだけ上手く融合させストーリーを展開させるか。
そこにいかに注力しているのかが今になって読み返すと分かる。
絵も丁寧で上手いもんなのだ。
この丁寧さがサンデー漫画の凄さだろうな。


・砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 上下巻 / 桜庭一樹×杉基イクラ
表紙の絵とタイトルに惹かれて買ったのだが期待以上の出来。
最後は泣いてしまった。
原作も素晴らしいのだろうが、
この作品はマンガとしても十分に優れている。
コマ構成や枠線の太さを変えたり、
多くの手法や技法を使ってドラマを演出していく。
視覚的な情報とテキストが与える情報。
それらをバランス良く積み上げていく。
最後まで読めば、タイトル自体がとてもよく出来た
象徴的なテキストになっていることが分かる。

この作品を言葉で語るのはあまり良くない。
だが人を選ぶかもしれないな、とも思う訳だ。
だから推薦する前にこの作品がどういうものかを簡単に。

少なくともハッピーエンドではないだろうと思う。
そう解釈する人もいるかもしれないが、
一般的にこのマンガのラストをハッピーだとは言わないと思う。
取り上げている題材も、
人にとっては生々しすぎて見れない場合もあるかもしれない。

しかし、それくらい生々しいからこそドラマに切迫感が出る。
嫌なことが起こっている時は
嫌な雰囲気が自分の周囲に漂うものだが。
その雰囲気を紙面に定着させるってのはとても演出力のいることだ。
だからこそ日常の中に落ちている小さな喜びの尊さも描くことが出来て、
その距離感こそが落差による感動の肝に成り得るんだと分かった。
良いマンガと出会いました。


・ベルセルク 34 / 三浦建太郎
まず言わなければならない。
これが550円程度で買える日本は本当に凄い国だ。

とにかく絵の面だけでも十分に絵画的な価値があるし、
ここまでの遠大な構成の結実と繊細な演出力もすべての水準が凄まじい。
こんなものを550円程度で流通させられるのは、
日本の漫画のレベルと読者のリテラシーが高いからだ。
これは誇ってもいい。

以下はちょいとネタバレになってしまいます。
今のベルセルクに対して「こんなものを求めていない」
という意見もAmazonのレビューなんかでは見られる。
(まあAmazonのレビューは的外れなことも多い訳だがw)
しかし少なくとも三浦建太郎は、
この今のベルセルクを書くために34巻を費やしたのだ。
ということは間違いなく言えると思う。

34巻にしてようやくもう一人の主人公グリフィスの物語に至る。
グリフィスが何を望み何を失い、これから何を手にして行くのか。
これまでグリフィスの内面描写はなるべく徹底してされてこなかった。

そのグリフィスが、逆光というエピソードで、
ゴッドハンドのフェムトの姿に戻り、
ガニシュカに世界の真理を語る場面がある。
ここはかなり貴重なシーンだ。
人によっては語らせすぎだと思う人もいるかもしれない。

そこに髑髏の騎士が呼び水の剣で奇襲をしかけに来る。
「待っていた」とグリフィスが言う。久々の感情の吐露だ。
この時に驚いているのが髑髏の騎士だけではなく、
ゾッドもであるということに注目して欲しい。
あまり語ると無粋になるのでやめておくが、
ここはいかにもグリフィスらしいなと思わせる場面だった。

それがこれからガッツの物語と切り離せないほどにドロドロに融け合う。
作品世界の現実の半身とされた
人のイメージの世界が、その半身である現実と完全に混ざり合って
どうしようもなくなってしまったのと同じように

その為にはガニシュカのような特殊な存在が必要不可欠であったし、
さらにガニシュカのキャラを立てる為にクシャーンという大国が必要であった。
伏線はバーキラカのシラットが登場した時から既にあったのだ。
それはつまりグリフィス救出作戦前から、
大筋としては現在までのエピソードが見えていたということだ。
本当に気が遠くなるほどの遠大な構成力だ。

スピードが命の少年漫画ならば、
もっと一足飛びにしかも分かりやすくそれを描いてしまうだろう。
というよりもそう描かなくてはならない。
しかし、ベルセルクにはこれだけの長さが必要なのだ。

34巻の最後の幻造世界というエピソードに到るまでの過程は、
本当に34巻必要だったのだ。
言葉によってではなく緻密な構成と演出によって語る。

デビルマンの不動明と飛鳥了の関係と、
ガッツとグリフィスの関係の類似については今さら語る必要もないだろう。
だから34巻での開闢というエピソードの月面までの引きの絵を見た時、
俺はデビルマンのラストを彷彿とさせられた訳だよ。
意味合いは違うしガッツはまだ生きているけど。

髑髏の騎士の呼び水の剣によって世界に亀裂が入り、
それをグリフィスに利用され開闢がもたらされ、
幻造世界が顕現することになった。

ガッツたちが船で移動している時に、
グリフィスのエピソードを前に進める。
それがこれからガッツの辿るエピソードと深刻な交錯をすることになるはずだ。

ベルセルクは本当に面白い。

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