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病星のロックスクイーズ 序章Part4

オイラは月でレアメタル精製の仕事をしている。
もともとは地上でロックスクイーズの原料になる荒土を採掘していた。
仕事をしなくちゃならないってことはオイラはロボットな訳で、
アドロムさんたちとは見た目も役割もちょいと違う。
ただオイラは不良品で、
他のロボットたちよりも人間に近い論理思考を持ってしまったみたいだ。

今は中空艇のイプスウェル家に召し上げられたエイミーにそう言われた。
エイミーは当時確か300歳くらいだったけど、
人間にありがちな絶望の病気になっちゃってた。
月にしかない自殺因子を自分に埋め込む為に、
オイラの住んでいるロボット街まで自殺因子を取りに来ていた。

エイミーは他の人間たちに比べると、
絶望の病気(人間達は諦観症と呼んでる)になるのが少し早かった。
その時のエイミーの姿は今思い出すだけでも、
ちょっと見ていられなかったなあ。

「私達って、多分生まれた時からとんでもない罪を背負わされてるの」

溜息混じりにエイミーはオイラに言ったけど、
オイラには善悪の判断はプログラムでしかできないから、
オイラはオイラの思ったことをエイミーに言った。
そしたらエイミーは驚いたような顔をして、
少しだけ微笑んで、オイラにバイバイと言って去っていった。

オイラはプログラムにバグがあった出来損ないのロボットで、
だからこそオイラは思うんだろうけど、
人間だって多分ほとんどが出来損ないなんだ。

ロボットは自分で死ぬことを許されないし、
ロックスクイーズ技術が無くならない限りは、
人間と違って永遠に働き続けなければならない。
もちろんロボットだから人間と違って疲れもしないし、
仕事に対する喜びという感情をプログラムされてもいる。

だから仕事を嫌だとも思うこともない。

けれど論理的に考えれば、
将来的には地球も月も周辺の宇宙も。
すべてが自分達の技術によって食い尽くされてしまうなんてこと、
何百年も生きていれば気づいて当然なんだ。

かつて地上には森があり、水があり、
その上を人間達が幸せそうに歩き回っていたのだそうだ。

オイラは思う。
その幸せが今の世界を作ったんだと。

エイミーが絶望したのは、
人間と呼ばれる自分が、
この世界を元に戻せないほどに荒らした一族の末裔であるということ。
そして恐らくはアドロムさんたちのような、
かつての人間の姿を模して作られた存在と、
今の人間達とのあからさまな姿の差に、ではないか。

アドロムさんたちは、
かつて人間が地上を歩き回っていた頃の姿と同じ姿をしている。

オイラたち作業用ロボットは効率的に作業を行うために
担当する作業ごとに外装やユニットを交換するので、
外見はよく変化してしまう。

人の姿を模したはずのアドロムさんたちは、
今の人の姿とはまるで違う姿になってしまった。
人間は環境に合わせて外見を変化させていくから、
どちらかというとオイラたちロボットに近いのかもしれない。

アドロムさんたちはアンドロイドだから、
外見も変化せずロックスクイーズ技術によって生き続ける。

原始アドロムであるアドム様が生まれた神代から、
生き続ける神族と呼ばれる方々でも環境の変化によって、
その外見は元々の姿のままで保たれているのは稀な例だ。

エイミーが召し上げられたイプスウェル家の方々は、
家族それぞれによってお役目と休眠を繰り返して、
なんとか本来のままのお姿を保ちつつある神族の中の一つだ。

中空艇は地表監視システムとして常に灰雲海を飛び続けている。

ロックスクイーズ技術によって、
地球の直径は年々減少傾向にあり、
中空艇の地表監視システムなくしては、
月と地球の重力バランスがとれなくなってしまっているのが現状だ。

オイラは月で採掘したレアメタルを精製して、
地球の重力バランスを取るためのアースボルトにしている。

地球は宇宙と地下を繋ぐ軌道エレベーターの超圧力と、
アースボルトによる宇宙磁場受信によって得られる重力で保たれる。
なんだかごまかしてばっかりで、
本当の問題は棚上げにされている気がして仕方がない。

そんなことを言ってもメンテナンス工場ではバグだって言われてしまう。

オイラの今の興味は原始アドロムのアドム様に会うことだ。
アドム様は一体何の目的があって地上を歩き回っているのだろう。
オイラには想像もつかない。
バグだって言われるオイラにも想像できないようなことを、
原始アドロムのアドム様は平然と続けている。

それもとんでもなく長い間。

荒土採掘の仕事には戻りたくなくないけど、
なんとか地上に帰れる方法はないものかなあ。

最近はそんなことばかり考えてしまう。
仕事は楽しいものだけれど、
オイラにとってはアドム様に会うことも大切なことに思えてしまう。

そういえばエイミーが仕えている
ジム・レッグウィング・イプスウェル様というイプスウェル家の三男のお役目は、
アドム様との面会と、新技術の開発だったと聞いたことがある。
他にもお役目はあるみたいだけど、
それは最重要特記事項とやらで教えては貰えなかった。

オイラがエイミーやジム様たちを、
過酷な地上の環境障害から守る乗り物になれば、
もしかするとアドム様に会えるかもしれない。

思いついたと同時にオイラはすぐ現在の職場を離れる手続きをし、
イプスウェル家にいるエイミーに連絡をとった。

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